第7章 その日 口火を切る
「………僕もたくさん考えた。
確かに、石津さんが言ったことは間違いじゃない。
大切な友人で………今までは気持ちの整理ができなかったけど、石津さんの言葉やみんなと過ごす中で背中を押されたんだ。
おかげで、少し楽になれた部分もある。
僕の心は大丈夫………ありがとう。
それに本当の意味で向き合う為には、石津さんにはあんな事をしてしまったらからこそ………聞いてほしいんだ」
真っ直ぐな瞳で、石田さんは私を見つめながら言ってくれた。
頭に浮かんだあの雨の日の苦い記憶は、すぐに彼の言葉と想いによって、消えていく。
石田さん自身が熟考を重ねたうえのことなら、私もその思いをちゃんと知らなくてはいけない。
それが、私の石田さんへ向き合うかたちになると信じて。
そして、彼が言葉の通りに話してくれる事が内心嬉しくもある。
黒崎さん達程ではなくても……心許せる存在の一人になれているのかと思ってしまう、単純な私。
「私も石田さんや大事な方のお話、聞いてみたいです。だから少し………楽しみでもあります」
私の言葉が意外だったのか、不思議顔で石田さんは聴いてきた。
「楽しみ?」
「玉手箱を開けるみたいな心持ち、ですかね?」
「…………………なんで疑問系なんだい?」
「………………何故でしょう?」
思ったままに話したつもりだったけど、石田さんは真顔で黙ってしまう。そしてーー。
「………………く……っふふ」
石田さんが、堪えられないとばかりに笑ったのだ。
恥ずかしさもあったけれど、その顔を見れて私はよかったと思う。
大事な人の事なら、柔らかい空気の中で話してほしいから。