第7章 その日 口火を切る
「ごめんね石津さん………」
「いえ!お邪魔してるのは私で、石田さんが謝ることじゃないですっ!」
「飲み物は何がいいかな?
コーヒーかホットミルクなら出来そうなんだけど………」
「じゃあ、コーヒーがいいです」
「了解、少し待ってて。適当に座っていいから」
「はい………」
人様の部屋なのだと思うと、緊張半分物珍しさ半分な心境だ。
ついつい見てしまったが、整頓された机やベッドの様子からして、なんとも石田さんらしさを感じる。
そして視界に入ったのは、ひとつの写真立てと活けられた白い花だった。
和かに笑う幼い頃の石田さんと年配の男性を写したそれが、どうしてか気になって暫く見ていた。
もしかしたら、この人はーー。
「師匠との写真なんだ、それ」
「すいません!勝手に見てしまってっ………」
「いいよ、僕は気にしてないから」
トレイをテーブルに置きながら、石田さんは私に話してくれた。
「師匠とは………先程のお話の方ですか?」
「そう。僕の滅却師の師匠であり、実の祖父だった人なんだ。
いい人だったよ。今も尊敬してる」
「………そうなんですね。
お二人の姿が素敵な写真だったので、私もなんだか微笑ましく感じました」
大事そうに写真を手に取る姿や、優しい声色を聞けば、その方への思いが私にも伝わった。
二人でテーブルを囲んで座る。
置かれたマグカップには、淹れたてのコーヒーのくゆる湯気。
「コーヒー冷めないうちにどうぞ」
「ありがとうございます!」