第7章 その日 口火を切る
先程までの指の震えは無くなって、今はただ。
ただ、石田さんに言われたことが嬉しかった。
誰にも言えない記憶
恥ずべき思い
だから、他人には理解されない事だと硬く蓋をして閉じ込めていた。
「怖さを知られることも………弱いやつだって思われるのも嫌だったんです、私。
だから戦って誰も傷付かせないくらい強くなろうって決めてたんですけど………今のままでは本末転倒ですね」
「誰しも強さと弱さは持ってるものだって。
どちらもあるから、人に優しくできたり一緒に泣いたり笑ったり出来るんだって……………僕の師匠が昔言ってたよ。
今は無理でも、ゆっくり僕等に頼ってよ」
にこりと笑った石田さんの顔が、私の瞳に焼き付いていた。
どうしてなんだろう。
この人には………石田さんには話せたんだ。
いや、多分。
石田さんなら、ちゃんと聞いてくれるって知ってるから………かな。
後は、私が………聞いて欲しいと心に思ったからなのかもしれない。
私の心は いま 彼への感謝の気持ちでいっぱいだった。
だからかな、体があたたかいのは。
はらりと涙が、ひと筋溢れる。
「ありがとう………ございます、石田さん」