第7章 その日 口火を切る
走り着いた公園には時間通りについたが、すでに石田さんは待っていてくれた。
待たせてしまった申し訳なさで頭を下げたが、大丈夫だからと笑ってくれた。
「改めてだけど、今日は僕に付き合ってくれて………ありがとう」
「いえ……………ん?」
「どうし…………雨?」
ポツリ ポツリ と、雨が降ってきた。
少しずつ雨粒の勢いが強くなってきていて、それを避ける為に屋根付きのベンチへと急いだ私達。
先程まで遊んでいた子供達も、両親に連れられて公園を後にしていた。
「いきなり雨とはね………大丈夫かい?」
「はい、私はほとんど濡れてませんよ。
そうだ石田さん、左手を出してもらえませんか?」
「どうして?………あっ」
「すいません、気になったもので」
言われるがままに差し出した手、正確には指に見覚えのない傷が出来ていた。
「よくわかったね。僕自身も気付かなかったよ」
「さっきの会話で手元が見えたんです。
よかったら、治させてくれませんか?」
「でも、たいした傷じゃないよ?」
「されど傷ですし、無い方がいいです。すぐに済みますから」
そう言った彼女は掌を傷にかざして、霊圧を注ぐ。
すると、たちまち傷は癒えて跡形もなくなる。
「はい、これで大丈夫です」
「ありがとう………」
「雨が降ってくれたおかげで、人目を気にせずチカラを使えました。ある意味では、感謝ですね」
「っ…確かにそうだね」
戯けたように微笑む顔を、これ以上僕は見れなくて目を逸らしてしまう。