第7章 その日 口火を切る
「あの実穂様、考え中にすいませんが………約束の刻限まで四半刻しかないですよ?」
ひょっこりとハンドバッグから顔をだして、申し訳なさそうに呟いたモネの言葉で時計を見る。
せめて5分前には公園に居ようと算段していた私はまた焦ることに。
「教えてくれてありがとうッモネ!」
「いえ………。間に合いますか?」
「急げば大丈夫!」
走り出した私の視界に、黒いカードケースが落ちるのがみえた。
立ち止まって拾い上げると、そのまま落し主の男性に声をかける。
「落しものですよ」
「え?ああ、これは失礼!助かりましたっ
ありがとう………………⁈」
「良かったです、それではっ!」
目があってお礼を述べた50代くらいの男性が驚いた顔をした様にみえたが、私は急いでいることもあって、構わず手渡すと会釈をして走り出した。
だから、その後に呟いた男性の言葉も戸惑う顔もわからなかった。
「実穂…………?いや、まさか………な」