第2章 戸惑いこころ
不意にでた溜息。
意味はないけど口から出た。
コンビニの自動ドアが開いてそちらに目がいったが、すぐにそらした。
「いきなり目逸らすなんて
ご挨拶だな、石田。」
「僕だって見たくもない顔をみれば
そうなるんだ。」
「そーかよ」
背後を通りドリンクケースへと足をむける黒崎。
そのまま姿は見えなくなった。
今のうちに片付けてしまおう。
やつに見られたらいろいろ面倒だ。
紙袋に詰め終えコピー機の蓋をしめた時、
背後から黒崎の声に肩が跳ねた。
「てかお前こんな時間に何してんだよ」
「っ、何だっていいだろ別に。
…覗くな黒崎!
てゆうか飲み物取りに行ったんじゃないのか?」
「もう買ったよ。ん?
教科書印刷って、あいつの為か?」
持った紙袋を見られるのは、どうしてか嫌だった。
だから僕は黒崎から距離を取る。
「あいつって、石津さんかい?」
「そう石津!今日井上から帰りに聞いてさ何とかできないかーって言ってたんだよ。わざわざそこまでするなんて、お前も優しいとこもあんのな。」
その一言が、心に引っかかる。
「………」
「なんとか言えよ。」
「優しくなんてないさ。
彼女に貸したら僕が困るからしてるだけだ。
それ以上関わる気は僕にはないから。」
言いながら、不思議に思う。
さっき僕が考えていたことを
そのまま口にした様な気がしたから。
眼鏡のブリッジを押さえながら、
黒崎から視線を外してコンビニを出る。
話は虚退治の内容に変えた。
「だいたい君、虚はどうしたんだよ」
「代行証が鳴ったから行こうとしたら気配も音も消えたんだよ。絶対石津だろ。」
「そのうちクビになったりしたら、
笑者だね」
「いちいちカンに触るな、てめえ。」
言い合いながら黒崎とは別れた。
僕に向かって怪訝な眼差しを向けているなんて知らずに。
アパートに着いて時計を見るとあと少しで日が変わる時間だった。
もう寝ようとベッドに横たわり電気を消す刹那、紙袋が目に入る。
「優しいとこもあんのな。」
黒崎の言葉が頭をよぎる。
優しさなんかじゃない。
これは必要最低限の関わりだから。
何度目かの思考を打ち消したくて目を閉じた僕に、睡魔は早く訪れた。