第6章 手をのばすは夢の中
「………あの眼鏡野郎の所為か?」
「何が?」
「惚けるなよ。ずっと、俺の世界を吹きっさらしにしたくせによ」
「………………わかってるよ。気持ちが定まってない事は」
隠した所で全部筒抜けな事は、相棒の顔を見れば分かる事で。
それでも私は、どうしたらいいか分からない気持ちの整理をしあぐねていた。
「………悪い。別に、主の気持ちを蔑ろにしたいわけじゃない。
あんたの心はあんただけのものさ。
俺はただ、涙を流す姿見んのだけは………もう御免なんだ」
ガシガシと髪をかいてぶっきらぼうな言葉を投げかけるけれど、その音や視線は優しさを含んでいた。
調子が狂うなんて人のこと言えないんじゃないかな、風司。
いつもより口数が多い貴方も、一緒だと思うけど。
そんな事を思いつつ、相棒にお礼を述べて立ち上がる。
「………ありがとう、風司。ついでと言ってはなんだけど、戯れに交えない?久しぶりに」
「………後悔するなよ、主。傷が深くなるぜ。つーか休まなくていいのか?」
「少しだけだから。それに、弱いままの私でいたくないんだよ」
そのひと言に、風司の顔が僅かに曇るのがわかった。
そのまま斬魄刀を手にした私は、地下勉強部屋へと降りていく。
主の後ろ姿を見た斬魄刀の化身は、ぽつりと溢す。
「………俺の台詞だっての」
小さな呟きは空気に溶けて消えたが、胸にはズシリと重さが残る。
でも今は。
普段から溢さない主の珍しい望みを叶えようと、後に続くことにした。