第6章 手をのばすは夢の中
緩く結んだ銀髪が風に靡く。
煙管を蒸し、ふっと笑う彼を見るのはいつ以来か。
「いい月夜だなぁ、実穂」
「今夜は珍しい事だらけだね。貴方から此方に来るなんて」
「何言ってんだ。会いに来ねぇ誰かさんがいるから、俺が寂しくて出てきたんだぜ…。まったく、ひでぇ主だよ」
「最近はいろいろあって、貴方と対話もろくに出来てなかったのは………謝るよ」
私の言葉を聞いた風司は、ぽかんとした顔をして、危うく煙管を取り落としそうになっていた。
「………………」
「………………何?」
「いやぁ………主が素直になるなんて、調子狂うからやめてくれ。なんかこっちが照れるぜ」
「………………」
「そんな目で見ても、主が一番分かってんだろ?なら不細工になるからよせよ」
「煩いなぁ…」
「だからむくれるなって!素直なのはいい事だろ」
ふゆりとくねる煙が立って、黙りを決め込んだ彼は、指でちょいと一輪挿の花を弄んでいた。