第6章 手をのばすは夢の中
四半刻が経って、机には紙に書かれた報告書が並んだ。
ふーっと息を吐いて窓辺の一輪挿しをみる。
モネが新しい華を生けてくれたようだ。
小さな黄色の華が咲いていた。
「黄花玉簾なんて珍しい。よく見つけたな、モネは」
普段はなかなか目に出来ない。今の晩秋の頃に咲く華だ。
しかし、わざわざこれを活けてあると言う事はモネにまた要らぬ気苦労をかけているのだろう。
黄花玉簾の花言葉は、安息と言う意味があるのだ。
彼女の気持ちを考えると、嬉しい反面申し訳なく思う気持ちが、こみ上げる。
明日は全て終わった後に、彼女と一緒にゆっくりお散歩するのもいいだろうと心に決めた。
不意にさわりと風が吹いて、ひとつの気配が隣に現れる。
白地の着物に青白菱屋市松模様の帯を締め、夜の闇を纏う様な紗の羽織を着た男ーー風司だった。