第6章 手をのばすは夢の中
彼女と歩いた夜道は、思ったより早く終わりを迎えた。
寒さが身にしみて急いだからか。
それとも………明日の約束を僕自身で確認して
それが本当なんだと知りたいからなのか。
吐き出した吐息は白く、そのまま消えていく。
商店の前まで着いて暫く。
向き直った石津さんは、少し俯いた後に口を開いた。
「それじゃあ明日の午後、あの公園で」
「………………うん。おやすみ、石津さん」
「おやすみなさい、石田さん。寒いので気をつけてくださいね」
「石津さんも早く休むといいよ。さ、お店に入って。でないとせっかく温かいお茶飲み直したのに、また寒くなるよ」
「………はい。それじゃあ」
ぺこりと頭を下げた彼女は、静かに木戸を開けてお店に戻った。
暫くぼうっとしていたけれど、帰ろうとアパートがある道へと足を向ける。
公園で彼女と話をしていた時。
僕の話の後に、彼女の表情が驚いて困惑しているように見えた。
だから気になって、理由を聞きたかった。
知りたくなったのかもしれない。
僕の話を聞いて、石津さんがどう思ったのか。
彼女に言った言葉に嘘はない。けれど、夢で視た残像が、僕の頭を過った事もまた嘘じゃない。
僕も、石津さんには話さなくてはいけない。
僕の過去と、大事な友人の話を。
正直怖いけれど、本当の意味で彼女と向き合うのならば、どうしたって避けては通れないんだ。
それに、僕が辛そうな顔をしていたと石津さんは言っていた。
いつも彼女は、きゅっと拳を握って何か耐えてるみたいにその話をするんだ。
僕だって、悲しそうな顔の彼女は見たくなくて。
例え、それが僕の所為だとしても。
だから。
早く、明日になれ。