第6章 手をのばすは夢の中
「僕も石津さんに聞きたい事があるんだけど…」
ピピッ!
石田さんの言葉を遮ったのは小さな電子音だった。
なんだろうと辺りを探れば、どうやら彼が身につけている時計の時刻を知らせる音のだった。
「大変だ、21時過ぎてるっ!
遅くまで話させてしまったね」
「でも、聞きたい事は………」
「今日はやめておくよ。
浦原さん達が心配するし、君の体にも障るからね。
そのかわり………また明日話さないかい?」
「え?」
「………嫌じゃなければ、だけど」
石田さんの窺うような表情を見て、頭の中を整理した。
私は、どうしたい?
「………………嫌じゃ、ないです。私も話したいです」
そう、応えていた。
ホッとした様な顔の彼を、私は見れなくて少し目を逸らした。
どうしてか、理由はわからないけれど。
「よかった………。
じゃ、その時にまた聞くよ。
休みの日だけど、ごめん」
「謝らないでください。………私がいいって答えたんですから」
私はベンチへと腰を下ろして、石田さんのくれた緑茶をひと口飲む。