第6章 手をのばすは夢の中
石田さんの目は優しくて。
紡がれた言葉は、真っ直ぐで。
私は、すぐに言葉が出てこなかった。
だって、あの時と同じに辛い顔をしていたから。
また、嫌な思いをさせてしまったんだとばかり思っていた。
見たくなくて、謝らなきゃと、そう思って私は言葉にしたんだ。
でもまさか。
心配されてるなんて思わなかった。
それが思いがけずも、こんなに………嬉しいなんて。
石田さんを見れなくて、思わず俯いた。
「変なこと言って、心配させてすいませんでしたっ。
私、勝手に勘違いして恥ずかしいです………」
「そんな事はないさ。謝るとしたら、僕の言動が気に病むくらい迷惑をかけてるのは事実みたいだね。………すまない」
さわりと吹いた夜風にのって蟋蟀の鳴く声がする。
「僕ら、さっきから謝ってばかりだね」
「確かに………」
長い溜息の後に、クスリと笑いながらこぼしたのは石田さんだった。
「………やめよう。これ以上の謝罪はよくない。お互い怪我はしたけど、こうして元気なんだ。それでいいよね?石津さん」
「はい………。石田さん、助けてくださってありがとうございました」
「石津さんも、一緒に戦ってくれてありがとう」
お互いにお辞儀をして、顔を上げる。
側から見たら、きっと不思議な事をしていると思われるんだろうけれど、今は気にならなかった。