第2章 戸惑いこころ
虚退治をした私は、
霊の気配の下へ足を向けた。
交差点があり、小さな女の子の霊が
横断防止柵に腰掛けていた。
柵のそばには白百合が小瓶にいけてあった。
「こんばんは。いい夜だね。」
「お姉ちゃん、私が視えるの?」
「うん。でも余り驚かないんだね。」
「お姉ちゃんみたいな人を知ってるから。」
にこりと微笑んだその子は千春ちゃん。
三つ編みのおさげ髪が特徴で
眼鏡が似合う女の子。
亡くなったのは3カ月前。
月命日には必ず
御両親が此処にきて
手を合わせているそうだ。
黒崎さんとも面識があるみたい。
「死神さんってもっと悪いやつかと思ってた。
骸骨がおっきな鎌持ってるんだよ。」
「そ、そうなの?なんて物騒な…。
認識の改善をしないといけないわね。」
私の言葉が可笑しかったのか、
千春ちゃんは肩を震わせながら笑った。
つられて私も笑っていた。
よく笑う子だなぁと思った。
話好きそうだし、とてもいい子だ。
それでも、私は伝えなくてはならない。
ひとしきり笑ったあと、
真っ直ぐに千春ちゃんを見た。
「あのね千春ちゃん。
ずっとこの場にいる事が出来ないのは
わかるかな?」
「わかってる…けど、最後にもう一度だけお父さんとお母さんに会いたいよ。1週間後が月命日なの!それまでは此処にいて会いたい!」
握った拳や泣きそうな顔が、
会いたい気持ちの強さを表していて
とても止める事は出来なかった。
「わかった。じゃあお姉ちゃんのお願いを聞いてほしいの。毎日千春ちゃんに会いに行くから、話相手になってくれないかな?」
「話相手?そんなことでいいの?」
「千春ちゃんと仲良くしたいなって思ったの。
だから、ね?」
ウィンクをして千春ちゃんを
見ると嬉しそうに頷いてくれた。
「じゃあ、友達だね!」
小さな友達ができました。
今夜のやりとり以降は虚も出て来ず、
お店に戻ったのは日を跨ぐギリギリ前だった。
そうして、気付かないように仕組んでいた。
奴らは__。
「見ツケタ。やっとダネ。」
「ダけど、タリナいね。」
声は誰にも聞こえない。
その時はまだ来ない。