第6章 手をのばすは夢の中
盾の内側に残された僕等は、浦原さんと敵の攻防を見遣りながらも、石津さんにどう薬を飲ませるか考えていた。
動けない体は、筋肉も硬直していて生半可な力では口を開けることすら難しい。
小さな丸薬ながら、口を開けて飲み込むふたつの動作も、今の石津さんにはとても自身で出来るはずも無いのは明白だった。
「石津さん、どこまでなら口を動かせるかな?」
「………………っ………ぁ」
止血のために結んだ布と怪我に触らない様に、僕はそっと声をかける。
すると、声が聞こえていたのか動きがあった。
ほんの僅か。歯の隙間が開いたのがみえる。
止めどなく流れる大量の汗や顔色からして、石津さんの体力は刻一刻と限界に近付いている。
仕方ない。他に方法もない。
ぐっと握った拳の中には、黒い丸薬。
「………………ごめん」
僕はそう、彼女に告げた。