第6章 手をのばすは夢の中
此方を心配そうに見る浦原さんは、盾を張った内側で僕らの前に膝をついた。
「浦原さん………」
「遅くなってすいません、石田さん。これを傷口に掛けてください」
「僕より石津さんを見てください!麻痺毒かもしれないし、もっと酷くなってしまう!」
手渡された茶色い小瓶を見ながら、焦りからか僕は捲し立てた。
「石津さんの霊圧は弱まっちゃいるが、毒の進行を緩やかにしてます。
体が動かないだけで意識もあるし、自分のチカラをそれだけに今は絞っているんだ。
ですよね、石津さん?」
「え……」
彼女は無言だったけれど、よくよく見れば確かに浦原さんの言う通り黒く変色した皮膚は、前と変わらない位置にある様だった。
「だから石田さん、貴方には傷を癒して、一緒にこの場を切り抜ける様にして欲しいんですよ」
「わかりました…」
迷っている暇なんて無かった。
浦原さんの言葉に、真剣な瞳に、僕は頷いて薬を傷口に掛けると、みるみる癒えていった。
「霊圧がなくなれば毒は広がる。
応急処置ですが、石津さんにはコレっす」
黒色の丸薬を浦原さんは彼女に手渡し………そうになって、出来ず。
「どうやって飲ませましょう………」
「………え?!」
「体が動かないのならば、口も開かないのでは?」
「………確かに」
おろおろとしていた僕達だったけど、浦原さんが何かを感じて盾の張った向こう側を見やった。
「石田さん、貴方にその難題……預けます。
敵さんを先に片付けないといけない」
土煙が晴れれば、敵の姿が現れる。
ひび割れた場所から幾つも触手を出して、此方の様子を窺っている。
「異様っスね…。涅さんが見たら喜びそうだ」
するりと血染めの盾の外側へと出た浦原さんは、ぽつりとそう溢していた。