第6章 手をのばすは夢の中
何かを告げようと石津さんは口を開くけれど、声も出ない。
「………っ………ぁっ…」
「無理に声を出さなくていいよ。今傷を見るから!」
何が身に起きたのが分からない彼女に、端的に話をする。
「左肩を貫通したんだ!…たったそれだけ。体が動かないだけじゃなくて、声も出ない…………麻痺毒の類か?」
状況を聞けて納得はした様な彼女は、大量の汗を流しながら、グッタリとしている。
いきなり斬魄刀を取り落とし、血を流した彼女を見た時は唖然とした。
急いで体を支えて、安全な場所まで移動をし彼女の容体と傷の具合を確かめていた。
「なんだ………これは…!」
晒された左肩は、血管が浮き上がり、傷口から皮膚が黒く変色していた。
「こんなのどうしたら………!」
バッと、僕は石津さんから明後日の方へ視線を向ける。
「こんな時に‼︎
石津さん、少し辛抱していてっ‼︎」
霊圧の震えでわかる。
先程の卵の物体が再び、攻撃を仕掛けてきたのだ。
僕の手には、ゼーレシュナイダー。
石津さんを助ける時に、それで斬り付け凌いだのだ。
見た目は長剣の形をしていても、実際はチェーンソーに近い代物。
斬り付けられれば、霊子が奪いやすくなるだけじゃなく、簡単な攻防も出来るから暫くは保つだろう。
それに、まだ手はある。
今は、誰かが来るのを信じて待つしか無い。
瞳を閉じて、心を落ち着ける。
大丈夫
あの夢とは同じにはならない
再び開いた瞳で真っ直ぐ前を、敵を見る。