第6章 手をのばすは夢の中
今日は何事も無く終わるかと、コーヒーをひとくち啜りながら思う。
バッと、いきなり窓へ石津さんは視線を向けた。
外の景色というより、暮れ行く空を見ている。
「虚が出たみたいです!」
視線を彼女から空へ向けると、僅かだが確かに虚の気配がした。
「行くか?」
「数は一体だと思うので、直ぐに戻ります」
「気をつけてね」
「はい!」
「モネは何かあったら連絡してね!」
「わかりましたっ」
素早く死神化した彼女は人の合間を縫って、空へと跳躍した。
ピピっと機械音が鳴ると共に、黒崎の代行証もけたたましく響く。
当然僕らにしか聞こえていないが、なんとも心臓に悪い。
「石津さん伝令神機置きっぱなしで行っちゃった………」
「必要ないと思ったんだろ。あの言い方だと直ぐに帰って来るみたいだったしな」
黒崎は言いながら、代行証を一度握ると音を止めた。
額に当てて何かを考えている様子が気になって、しばらく僕は黒崎を見ていた。
「………虚一体じゃねーかもしんねぇぞ」
「え…?」
「なんか、ザワザワすんだよ代行証。石田は感じねーか?」
「いや…。虚の気配は今し方一つ消えた感覚がしただけで、それ以外には………!」
「どうしたの?石田くん」
「あの空の向こう………虚の気配だ!」
その言葉と共に、再び鳴り響く代行証と伝令神機。
僕らは一つ頷くと、急いで店を後にした。