第6章 手をのばすは夢の中
晩秋のこの頃は、1日が終わるのは早く感じる。
色付いた木々の葉は冷たい風に流されて、道をかけていく。
文化祭も考査も終えた僕達は、学校帰りにカフェに来ていた。
店内はひと足早くクリスマスの飾りやBGMが掛かっていて、とても賑やかだった。
思い思いに飲み物を頼んでテーブルに腰を下ろすと、井上さんが感慨深そうに口を開いた。
「いろいろあった11月もあっと言う間に終わりだね」
「ひと月に行事詰め込みすぎだぜ、ウチの学校………」
「でもまあ、今までやれてなかったんだし高校最後の思い出にはなったんじゃないか?」
やれやれと呆れた気持ちが顔に出ていた黒崎だったが、茶渡君の言葉で「まあな…」と答えた。
いろいろ言っても、楽しんでいたのは間違いないらしい。
「そうだぞ黒崎。君だって言う割には楽しんでたじゃないか………。模擬店の食べ物制覇したんだって?」
「あれはな………啓吾にせっつかれて嫌々行ったんだ!俺の意志じゃねぇ!」
「一緒に行ってあげてるところを聞くと、あながち違うのでは?」
「………………言う様になったなっ。石津……」
「思った事を口にしただけですよ。
怒らないでください」
「怒ってねぇよ!」
こんなやりとりは結構増えて、見慣れつつあったりする。