第5章 サイドストーリー *ふたつめの贈り物*
ふと目が覚めて周りを見れば、自分がいつも寝ている部屋なんだとわかった。
今は人が誰もおらず、静かな空間。
確か井上さんを虚から庇って………怪我をした右肩がすごく痛かったのは覚えてる。
そこから記憶が無いという事は、気絶したんだろう。
そんな風に思い出していると、カラリと襖が開く音が耳に届いた。
そちらに目を向ければ、一輪挿しを手にした実穂様が目覚めた私に気付いて声をあげた。
「気が付いたんだモネ!」
「迷惑をかけてすいませんでした………」
ポソリと溢した謝罪に、ゆっくりと首を振ったのは実穂様。
「そんなこと思わないよ。井上さんには怪我は無いし、モネには感謝こそしてるんだから」
「怪我がないなら良かったです」
その事実に、私は安心した。
一輪挿しを窓辺に飾り直す姿をそっと目で追う私に、実穂様は気付いたようでにこりと微笑む。
「モネが起きた時に見せたくて摘んできたんだよ」
1本のアネモネが揺れている。
それはしっかりと色づいた華だった。
「ありがとうございます。とても綺麗」
「咲頃のものを探したんだよ。気に入ってもらえたみたいで嬉しい」
互いに微笑んですっと腰を下ろした実穂様だったが、先程とは少しだけ纏う空気が違う気がする。
「モネ、貴方には確かに感謝をしてる。でもどうしてあんな危ない事をしたのか教えて?」
私の目を真っ直ぐ見つめて言葉を紡ぐ。
聞かれるだろうとは思っていた言葉。
すごく心配して、本心から理由を聞いているのが、瞳を見ればよくわかる。
この方は、優しい。 ただただ、優しい。
だから今回の事もきっと、気に病んでいるに違いない。
だから私は、自分の思いも含めて話すことにした。