第4章 過ぎゆく秋空の日々
週末に入り、いよいよ追試の当日となる。
休日に予定されていた為に、いつも以上に静かな校舎。
この場にいる事が、本来ならば恥ずかしい事だと思う。
でも不安と緊張の中にいる私には、それどころではなかった。
教室に入れば数人の生徒がいて、その中には浅野さんの姿が。
「あれ?石津さんも⁈」
私がいるのが驚いたのか、すごい顔をされてしまった。
「………はい。浅野さんがいてくださって安心してます」
「うん、なんかね。そんな顔してるよ石津さん」
ハハっと乾いた笑いがお互いから溢れる。
「でも勉強したんでしょ?」
「黒崎さんや石田さん達に教えてもらいました」
「うわぁ、秀才オールスターズ………。なんにせよ自信もってやるしかない。でしょ?」
キョトンと思わず浅野さんをみる。
「浅野さんは………すごく前向きですね」
少し意外だった。
賑やかな中でも、彼の不憫だなと思う姿を見る事しかなかったからなのか。
元来、心が強い方なのかもしれない。
暫く黙っていた浅野さんは、考えて言葉を選びながら話し出してくれた。
「なんつーか、出来ない俺の為に水色とか有沢にも教わったしさ。ちゃんとしたいし、頑張れって気持ちを裏切りたくないんだよ」
それはすごく、心に響いた言葉。
みなさんだって自分の時間が確かにあった筈だ。
でもこの5日間は殆ど一緒に過ごして、勉強を教えてくれた。
『ちゃんと追試の結果で返しますから!』
私自身で、言葉にしたのを思い出す。
頑張ろう ちゃんと
自分自身とみなさんの為に
感じていた不安や緊張は、消えていた。
浅野さんに感謝しなければ。
「…………私も、そう思います」
「うん、さっきよりいい顔だ。頑張ろう‼︎」
「はい‼︎」
お互いにグッと拳を握って、力強く応える。
「いや〜よく言った浅野!」
「越智先生⁈びっくりするじゃんか………」
いつの間にか先生が後ろにいたのだが、ニカっと嬉しそうに声をかけてきた。
「その調子で突破しちゃいなよ!」
「うっす!」
「はい」
先生は卓上にテストを置いて、教室中に声を張り上げる。
「んじゃ、追試を始めるから準備しよう諸君!」
そうして、私達は追試を受けた。