第4章 過ぎゆく秋空の日々
「うん。基礎はよく出来てるけど、応用問題になると引っかかりやすいからそれを気をつければ大丈夫だよ」
「石田さんに聞いてよかったです。分からなくて困ってたんで」
「なら良かったよ。
よし、今日はこの辺にしておこう。遅くなるといけないからね」
「はい、ありがとうございます。後は帰ってからまた頑張ります!」
彼女からお礼を言われて、此方も釣られる様に一礼する。
時計を見れば1時間が経とうとしていて、未だ戻らない黒崎達が流石に気になりだす。
「何かあったんでしょうか…」
「わからないけど、とりあえず連絡してみよう」
スマホを取り出して、井上さんに電話をかけてみた。
しばらくのコール音の後、応答があった。
「ああ井上さん。
なかなか戻らないから………え?
そう。わかったよ。みんな一緒なんだね。僕らも今から学校出るところなんだ。
聞いてみないとわからないけど………うん。
それじゃ、後で」
ピッと電話を切れば、彼女は此方をじっと見ていて。
「井上さん達、今はファミレスに居るみたいなんだ。虚退治した後に偶然、浅野くん達と会って同じ様に勉強会をしてるんだって。
何度か連絡くれたみたいなんだけど、僕らが気付かなかったみたいだ」
「………え?あ、本当です。井上さんから2回も連絡入ってました」
石津さんは伝令神機とは別にスマホを取り出し、画面を見て申し訳なさそうにしている。
「スマホ持ってだんだね」
「浦原さんに聞いて、買いに行ってみたんです。未だによくわかりませんが………」
「………そう」
彼女がスマホを持つことが意外だなと思いつつ、僕は話を戻す。
「それで井上さん達はまだ勉強会をするみたいで僕も合流するけど、石津さんはどうする?」
「私は………今回は遠慮します。自分でもう一度まとめたり、虚退治があれば今度こそ出向きたいですから」
「途中まで送ろうか?」
「それは悪いですよ!石田さんが着くの遅くなりますし、ちゃんと帰れますから」
「………わかった。じゃあ行こうか」
帰支度をして僕らは教室を後にする。