第4章 過ぎゆく秋空の日々
「向こうは和食ですから、すごく物珍しいです。説明も分かりやすかったです! 卵料理は、あまり食した事はないですけど。
私はよく干物の定食が好きで食べてましたけど、今日は奮発して天丼頼んじゃいました。腹が減っては、戦は出来ませんから!」
「私はオムライスとかシチューが好きだなぁ。石田くんは?」
「僕は煮物が好きかな。筑前煮はよく作るよ」
「年寄りくさいな、石田」
「失礼だな。そう言うなら、君は何が好きなんだい?」
「………………………………………カレー」
すんごい長い間をためて、黒崎さんはぽそりと呟いた。
「…………………………………………………僕が年寄りなら、君は子供舌じゃないか」
石田さんのジト目から逃げる様に、黒崎さんはそっぽを向いてしまう。
やはり仲がいいなぁと思ったけれど、心の内に留めておく事にした。
食事を終えてまったりしてしまったが、日がとっぷりと沈んだ夜空には星が光っていた。
長い時間お店にいるんだと気付いた私は、皆さんにお礼を告げた。
「何にしても、今日から頑張ります!しばらくお力を借りる事になりますが、よろしくお願いします!
「こちらこそ」
「そうだね、一緒に頑張るよ」
「……まあ、無理はするなよな」
にこやかに返す石田さんと井上さん。
気にかけてくださる黒崎さん。
皆さんの言葉に、改めてやる気を貰った。
私は井上さんに借物をする為に、お店で黒崎さん達と分かれたのだった。
やらなければいけないことも多いが、ひとつずつこなそうと私は誓った。