第4章 過ぎゆく秋空の日々
「石津とだいぶ話すようになったんだな」
ドリンクの種類を見ていた僕は、突然の黒崎の言葉に面食らってしまった。
「何を藪から棒に……それがどうかしたのかい?」
「いやさ。前はあんなに喋らなかったのが、嘘みたいじゃんか。
石田自身も辛そうだったしよ」
黒崎の言ったことは、事実だからこそ返すことが出来なかった。
「それはっ…………否定出来ないけど…」
「………なんだよ」
不思議そうに此方をみる黒崎に、どう話せばいいかと考える。
屋上での一件を思い出して、少なからず黒崎にまで迷惑をかけていたのだろうと思った。
ここは………普通に答えるべきなんだろう。
「いつまでも彼女に失礼な事はしたくないし、僕の勝手な都合を押し付けるのは違うんじゃ無いかって思ったんだ」
「それで………少しずつでも変わっていけたらって思っ…………」
「あ?どうした石田?」
「…………なんで君にこんな事まで話してるんだ僕は‼︎」
「いや、お前が始めたんじゃねーか」
「いっ今のは忘れてくれ!君にこんな事を零すなんて、人生の汚点だっ………!」
「意味わかんねーし、ムカつくな!」
ぽつりと話せばいつの間にか、余計な事まで話したような気がして、恥ずかしくなった。
黒崎を見れば………………またニヤニヤしていた。
なんなんだその顔‼︎
「まあ、半分は俺のおかげか?」
「さっきの言葉をそのまま返したいね!
そのにやけ顔もやめてくれないかっ………」
「俺も石田に感謝される日がくるとはな〜」
「話を聞け‼︎ あと感謝なんてしてない‼︎」
気付けば、また黒崎と言い争っていた。
それを彼女達に止められるまで、あと3分。