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BLEACH 叶わない願いをそれでも願う

第4章 過ぎゆく秋空の日々


「さて、あんまりここにいると黒崎達が余計に心配するだろうから行こうか」

「はい、そうですね」


お互いに立ち上がって、部屋へと歩き出した。


僕は思い出した様に、彼女に話を切り出した。


「長くかかった事は、僕が言っておくから大丈夫だよ」

「でも、それじゃあ石田さんに迷惑をかけることになります!」

「気にしないで、嘘も方便さ」


最初は納得しなかった彼女だけど、僕との押し問答の後にようやく引き下がってくれた。

「本当にいろいろ、ありがとうございます」


「どういたしまして。僕が聞き役で良かったのかは分からないけどね」

「私は、石田さんで良かったですよ」

「………そう」


先程の相談に対しての礼なんだとわかって答えたが、まさか彼女がそんなことを言うとは思わなかった。


思わず返事に間が出来てしまったが、彼女は特には気にしていない様でホッとする。


僕で良かった、か。


そう言われて悪い気はしないし、なんとなく照れ臭い。





少し後ろを歩く彼女を感じながら、僕は思う。



なんとなく彼女の様子がいつもと違う様な気がした。
なんて言うか、表情はあんまり変わらないけど、元気がないようなそんな感じ。



飲み物を撮りに行ってなかなか戻らないから、みんなに声を掛けて探しに行ったんだ。



見つけた彼女と少し話て感じた違和感は、間違いではなかった様だ。


彼女の迷いながらも吐露した思いに、僕なりに考えて伝えてみた。

みんなと過ごす内に僕が経験した、感じた事を。





思い悩むのもいい。ただ否定するんじゃなくて、ゆっくり受け入れていけばいいと。


僕が仕掛けた黒崎との勝負。
死神と滅却師の大戦でみんなと敵味方に分かれたこと。




いろんなことがあって、それでも"ただ共にいたいと思える存在"を僕は得たから。


彼女にも、そうゆう存在が近くにいる事を知ってほしかった。


話終えると、彼女なりに答を得たのか少し柔らかい表情をしていた。



偶々とはいえ、自分が彼女の助けになれたとは、今までの自分からは想像もつかなかった。



彼女と向き合うと決めて、でもいざどうしたらいいかわからないままだったのが、少しは良い方向に進めばいいと思う。





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