第4章 過ぎゆく秋空の日々
「みなさんの思い出話を聞いて、知れて嬉しいはずなのに、ああ自分は何も知らないんだって思ってしまったんです。
そしたら、なんだか……っ寂しいような羨ましいような気持ちが出てきました。
いいな…居たかったな…なんて思うのは、変ですよね」
膝に置いた両手を緩く握る。
渇いた笑みを溢しながらそっと、自分の気持ちを言葉にした。
暫く黙っていた石田さんは、体を私に向けて座り直した。
不安を感じながらも、彼の迷いのない視線を見つめながら、答えを待った。
「自分だけ知らないってのは、置いてかれてるみたいで、寂しいと思うのもわかるよ。
ただ、その気持ちを否定したり、変だって思う事はない。
以前石津さんが言ったように、僕らは出会って過ごした時間は少ないけど、僕らの事を知って仲間になりたいとも言ってた」
「はい………今でもそれは変わりません」
真っ直ぐに石田さんを見て私も答えた。
それは確かな気持ちだ。
でも時々、不安に思ってしまう自分がいて
それを見るのが嫌になる。
「だったら、寂しいと羨ましいと感じても、こうやって誰かに言葉で伝えて、自分自身を見つめてみるのもいいと思うよ。
今回は偶々僕が聞いたけど、他のみんなだっているから。
そうやって少しずつ、互いを知って仲間になっていけばいいよ。焦る必要はないさ」
すとんと心に響いた石田さんの言葉。
そして、気づいたこと。
私は早くみなさんの仲間になりたくて
ひとりで焦っていたのかもしれない
視界が開けたみたいに、自分の思いを真っ直ぐ見つめる事が出来た。
「話を聞いてくださってありがとうございます、石田さん。なんだか心が軽くなりました。」
「そっか、よかった」
頭を下げた私はお礼を告げると、石田さんはどこかほっとした様な顔をしていた。