第4章 過ぎゆく秋空の日々
自分から持ち掛けた勝負とはいえ、負ける気はさらさらない。
機械を操作して、曲が流れるのを待つ。
みんなからの視線がすごいのは多少気にはなるけど、意を決してマイクを握る。
"CHU-BURA"
♪♩♬〜♪♩♬〜♪♩♬〜♪♩♬〜♪♩♬〜
歌い終わってみんなで点数の画面を見る事にした。
「あ……」
「これは…」
「ム………」
「マジかよ」
みんなの驚いた声が聞こえた。
正直、僕も驚いている。
だって………
「黒崎と同点⁈」
紛れもなく、黒崎と同じ数字が出ていた。
なんでだろう。納得いかない。
「この機械おかしいんじゃねーか?どう聞いても俺のが上手かっただろ」
「僕だって納得してないさ」
ぎゃいぎゃい言い争う僕らを、あわあわしながら井上さんが納めてくれた。
「やっぱり、仲がいいですね。点数まで一緒なんてすごい」
「今は何も言ってやるな………石津」
彼女のにこやかな一言に茶渡くんは静かに返事をしていた。