第4章 過ぎゆく秋空の日々
「よし、次は俺だな」
ピピっと手早く機械を操作し始めた黒崎。
「迷いがないな。………そんなに歌いたかったのかい?」
「ちげーよ!こうゆうのは、早く終わらせるに限るだろ。得意じゃねんだよ、俺」
「まあ、一護らしい気もするが…」
黒崎の言葉を聞いた茶渡くんが苦笑いで答えた。
せっかくみんなで来てるのに楽しんだらいいだろうに。
そう思った僕は一つの考えが浮かんで、黒崎に問いかけた。
「黒崎、僕と勝負しないか?」
「は?やなこった、めんどくせー」
「せっかく点数が出るんだ。どっちが高得点を出せるかってさ」
「俺はこうゆうの苦手って言っただろ」
「ただの遊びだろ。それとも………負けるのが怖いのかい?」
ピクっと青筋が浮かんだ黒崎に、僕は畳み掛ける。
「ただの遊びでも、僕に負けるなんて嫌なんじゃないのかい?」
「上等だ、俺の方が点が上なんだって教えてやるよ」
「どうだかね」
僕らのやりとりを間近で聞いていた茶渡くんは収めようとしていたが困り顔。
黒崎の歌う曲が流れてきて、僕は茶渡くんに弁解をする。
「何もあんな風に煽らなくてもよかったんじゃないのか?」
「僕だって本意じゃないけど、ああでもしないと乗ってこないだろ。それにせっかくみんなで楽しく過ごすのに黒崎だけ乗り気じゃないのが、気になってね」
「………………」
こそっと2人で話していれば、黒崎は歌い出した。
*〜アスタリスク〜
♪♩♬〜♪♩♬〜♪♩♬〜♪♩♬〜♪♩♬〜
歌い終わった黒崎は、点数が出ると勝ち誇った顔をしていた。
今までで1番の点数が出れば、確かにそんな顔もするだろうけど。
「どうだ石田!これはお前も難しいんじゃねーか?」
「まさか。結果が出るまでわからないさ」
僕らのやりとりを井上さんと彼女が気付いて茶渡くんに状況を聞いていた。
「お二人は仲はいいはずでは?」
「互いに素直じゃないだけだろうな」
「うん、いいよ実際」
井上さんと茶渡くんの言葉が耳に届いて、とんでもないと思わず大きな声を出していた。
「「良くない!!」」
まさかその一言が黒崎と計ったみたいに重なるなんて思わず。
「………ね、いいでしょ?」
「そうですね」
そんな姿を見て茶渡くんは暖かい目でみてるし、彼女は井上さんと楽しそうに笑っていた。