第4章 過ぎゆく秋空の日々
なんだかんだで私の番が回ってきた。
「次は石津だな」
「頑張って石津さん!」
「………はい!」
井上さんや茶渡さんの言葉を受けてマイクを持つ。
黒崎さんはズズッと飲み物を飲みながら、石田さんは真っ直ぐとそれぞれ此方を見ている。
現世の歌なんて殆ど知らないけど、あれならきっと歌える!………と思う!
井上さんに機械の操作を教わって暫くすると、曲が流れ出す。
緊張を感じて手が震えたけど、意を決して私は歌った。
''ほうき星"
♪♩♬〜♪♩♬〜♪♩♬〜♪♩♬〜♪♩♬〜
平均点を超えた点数で、でも先に歌った2人よりは低い点数だった。
とにかく、歌えてよかった!
ふぅっと息を吐くと、井上さんが労ってくれた。
「お疲れ様、石津さん」
「ありがとうございます、井上さん」
黒崎さんも意外そうな顔で呟く。
「本当に歌えんだな、石津」
「だから言ったじゃないですか。歌えますって」
黒崎さんにボソッと反論すると、石田さんから素朴な疑問が上がる。
「でも、どうして現世の歌を知ってたんだい?」
「実は、女性死神協会でのど自慢大会が開かれた時に、みんなで練習したことがあったんです」
「………何してんだよ、あの人達は」
黒崎さんのジト目に苦笑いしながら答える。
「当時は、二番隊所属だったので砕蜂隊長の練習に付き合っていて、この曲を歌っていたんです。なんでも、他に適任者が居なくてって話でした」
「そういや、ルキアも俺らとカラオケきた時は結構楽しんでたな」
「一緒に歌ったの楽しかった〜!」
「あったね、そういえば」
「その、のど自慢大会はどうなったんだ?」
皆さんがそれぞれ思い出を話していると、茶渡さんの質問に嫌な事を思い出す。
「えっと………………」
「なんで、そんな青い顔になるんだよ」
「女性死神協会だけで開催される予定が、急な要望で男性陣も交えた大規模な会になって………最後には収集がつかないくらい荒れてしまったんです」
「そ、それで?」
「山本総隊長に凝っ酷く叱られました」
「本当に、何してんだよあの人達………」
皆さんの顔が、ゲンナリしてる。
まあ、確かにそう思うよなぁ………。