第4章 過ぎゆく秋空の日々
「採点機能ついてるのかい?これ」
「えっ………」
「む………」
「な………」
僕の一言に井上さん以外の3人の声が重なり目が向いていた。
かなりの高得点が表示されている画面に。
いや、その事はいいんだ。
茶渡くんの歌は、すごくうまかったのは事実だから。
僕の疑問を代弁した声が聞こえて、其方を見た。
「なんでだ⁈」
「そんな機能があるのか?」
「本機は自動採点機能搭載により、さらに愉しくお客様の歌いたい気持ちに応えます!………だそうです」
「まあ、盛り上がっていいんじゃないかな?楽しむ一つの要素だと思えばいいさ」
「………前向きだな、石田」
黒崎や茶渡くんの困惑した反応に彼女が説明をしていたが、それに僕は思うことを言ってみた。
そんな中、井上さんはスタッフから大きなトレーを受け取っており、いつの間に頼んでいたのか、お菓子の盛り合わせが来たようだ。
ポップコーンにポッキー
チップスに色とりどりの一粒チョコレート
途端にテーブルの上が賑やかになる。
井上さんにお礼を告げて今し方の話をすれば驚いていた。
「なら、満点取りたいなぁ!」
「満点かい?」
「目指すなら1番だよ!」
「なら、次は井上の番だ。頑張れ」
茶渡くんにマイクを促されて、井上さんは勢いよく頷いた。
黒崎はチョコを食べ始めていて、彼女は何やら考え込んだ顔をしていた。
「どうしたんだい?」
「点数がでるのなら、このカラオケと言うものは、やっぱり頑張るものだったのかと考えてました」
「…………かもしれないが、真面目に捉えなくていいんだ石津」
「………そうだね」
まさかの答えに、僕も茶渡くんも目が点になってしまった。