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BLEACH 叶わない願いをそれでも願う

第4章 過ぎゆく秋空の日々


教室に着くと、私は頭に疑問がわいた。


何故………私の席に他の人が座ってるのか。


ぽかんとしていたんだと思う。
ちょいちょいと制服をつつかれて視線を向ければ、笑顔の井上さんが。


「おはよう、石津さん。」

「おはようございます、井上さん。あの…席が皆さんいつもと違うのは…」


「あ、そうだ!石津さんはじめてだもんね。
テストの時は出席番号順に机に座るの。

だから石津さんは、わたしの前の席だよ。」


「なるほど………」



それなら、教室の様子が違うのも納得だ。
となれば、席は井上さんの前……ここか。

カタンと椅子をひいて席に着く。



ひと息ついた私に井上さんが声をかけてくる。


「石津さん勉強出来た?」

「いやぁ。少しだけで、後は体を休めてばかりでした。」


「………と言うか、不安しかないですね」



ひとつ思い当たる事があって、私は顔が青くなるのを感じた。

キョトンとした井上さんが声を掛けようとして、何かに気付いたような顔をした。


「あ、おはよう!石田くん」 

「おはよう 井上さん」


カタっと鞄を机に置く音と、挨拶が背後から聞こえた。

其方を向けば、石田さんと視線が合う。


「おはようございます、石田さん」

「………おはよう、石津さん」


互いに挨拶をしたかと思えば、石田さんは眼鏡を直して席に着く。



  目が合って 言葉を交わして 名を呼んで



あの日から、少しずつだけど石田さんと話す様になった。

なんとも言えない気持ちになるけど、嫌な気分でないのは確かだ。




井上さんの視線を感じて、彼女に向き直ればニコニコしていた。


「良かったなと思って。」

「………え?」


またまた頭に疑問がわいた。




でも今は勉強しなくちゃいけない。

試験が始まるまで、少しでも。


その後は、井上さんにわからないところを少し聞いたりしながら過ごした。











 




予鈴がなって、試験は始まる。


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