第3章 響く音はひろがりとどく
ガラリとガラス扉が開く音でそちらを見れば、浦原さんが腕組みをして立っていた。
「石津さん、薬を飲んでも休まないと治らないっスよ」
「はい、すいません!」
浦原さんの注意を受けて慌ててお店に入る。
断ってお風呂に入ってから寝る事にした。
電気を消して、布団に入る。
いろいろあった今日だけど、もうじき終わる。
風司には謝って、刃禅は明日にする事にした。
きっとわかってくれるから。
病んだ体のままそんなことはしなくていいって、怒られるだろうし。
布団に入って、暫く。
「おやすみなさい 皆さん」
仲間だと黒崎さんは言ってくれた。
井上さんも茶渡さんも。
その事で私の心は救われた。
軽くなって、ただ我武者羅だった気持ちも解けた。
呟いて、皆さんの顔が浮かんだ最後は石田さんだった。
気恥ずかしくて、布団をかぶる。
どうしてそう感じたかは、わからないけれど。
でも、嬉しさはしっかり心にあった。
名前をよばれた。
それだけでも嬉しいと感じたけど。
向き合うと言ってくれた。
私自身を見る、と。
普段冷静な彼が、顔を歪ませてしまうくらい辛い思いがある存在の人がいる。
私に似ていると言う、人。
それはきっと、石田さんにとって直ぐに出来る簡単な事ではないだろう。
それでも。
言葉にして伝えてくれた。
私は、わたしとして石田さんに何かしてあげれないのかな。
想いを溢した、あの時の石田さんの顔。
悲しさと辛さが混ざって、見ていて心が痛んだ。
もう見たくないし、させたくない。
探そう。
私にも何か出来ないか。
断られたら………それはちょっと凹むけど。
そしたら違う形で探す。
小さな決意をした私は布団の中の温もりに目を瞑ると、睡魔がきた事で意識を手放した。