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BLEACH 叶わない願いをそれでも願う

第3章 響く音はひろがりとどく



ひと段落ついた私達は、浦原さんから戦った虚について話があった。

「どうやら石津さんの体の中に残ってるのは毒っスね。神経毒みたいなもんだ。

傷が治っても、倦怠感や体が時折苦しいのはその所為です。」

浦原さんの言葉に、皆さんの視線を一気に集めた私。

「と、時々ですよ。すぐに治るんで大丈夫かなと………すいません。」

おろおろと答えると、溜息が黒崎さんからあがる。

「まだ辛いなら、ちゃんと言ってね?」

井上さんにも気遣わせてしまった。
自分が大丈夫だったから言わなかったのだが、皆さんの様子から申し訳ない気持ちが胸に広がる。


「軽くて済んでるのは、魂魄安定剤をすぐに打てたのが幸いしたんでしょう。
ただ、まだ完全じゃない。
だから、人間みたいに血清を体内に入れてしっかり養生すれば大丈夫です。」

「その血清は、どんなものなんだ?」

「これっス」


黒崎さんの質問に答えた浦原さんの手には、銀色の小さな物がころんと一粒。
見た目は、真珠みたいだった。

「飲んでもらえれば、これが体内で弾けて毒に効く仕組みです」

「それが、血清………なのか?」

「石田さんならこれが何か、分かったと思いますよ」

茶渡さんや浦原さんの言葉をうけて、顎に手を当てて思案顔の石田さんは答えた。

「…………銀筒ですね、これ」

「ご名答ッス。」

要領を得ない私の顔を見た井上さんが聞いてくれた。


「あの小さい銀の筒の事?」

「ああ。戦闘に使えるしここに着いて彼女の状況を話たら、浦原さんに言われて渡したんだ。」

「急拵えなんですが、ちゃんと効くように造り替えました。」


「でも、薬になるのか?」

「銀筒には僕の溜めた霊力が入っているんだ。それが血清代わりになったってところじゃないかな。」

確かに、滅却師のチカラは虚を根本から消し去るもの。

それなら虚の攻撃の名残である毒も消せるのかもしれない。

そう考えていた私は、浦原さんの言葉で思考を中断する。

「概ね当たりっス。ただそれだけだと、返って体に負荷が掛かる事になりますんで、うまく調節させていただきました」

「よくわかんねーけど、石津が良くなるなら飲めばいいんだな。」


受け取った薬を白湯と一緒に飲み干す。
これで体を休めれば、また元気になれる。

虚退治も学校も支障がないようにしないと。
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