第3章 響く音はひろがりとどく
すぱんと障子が開けば、苦笑いの浦原さんと
後ろには………………にやけ顔の黒崎や生温かい視線の茶渡くんと井上さんが。
「「………………え」」
図らずも、僕らの困惑の声は重なった。
「いやぁ…お知らせしたい事があって来たんスけど、真面目な話の最中に無粋な真似しないように待ってたんですが。
あんまり長いもんで………みなさんも来てしまったんです。」
あは………っと頭を掻きながら浦原さんは言ってくれたけど、問題はそこじゃない。
どこから………聴かれていたのか。
「仲間が云々なんて………俺達は聞いてないからな、石田」
「私も耳が遠いから…時間なんて関係ないとか、どう過ごしてどう互いをみれるか、なんて全然きこえてないから!!」
「………………っ‼︎」
顔が赤くなってるんだと確信出来る。
すごく暑い。冷汗もすごい。
聴かれていた恥ずかしさも、もちろんある。
でも、それより勝るのは黒崎のあのふざけたにやけ顔に対する怒りだ。
「なに………見てるんだ黒崎‼︎
その顔をやめろ‼︎‼︎」
「いやー。お前があそこまで、俺たちの事を思ってるとは驚きだ。」
にやにや にやにや 本当に不快だ!
だから僕は、勢いよく捲し立てた。
「あれはっ………例話だ!彼女が君らの事を誤解してるから、例えでああ言っただけだ‼︎」
「そんな焦って顔赤いまま言われても、説得力ねぇよ!」
ドタバタと騒がしくなった部屋。
気恥ずかしくて、僕はみんなの顔が見れなかった。
「ふふっ………」
くぐもった笑い声が聞こえて、ついそちらを見てしまった。
肩を振るわせて、耐えかねたようにこぼした笑いだった。
「すいませっ………ふふっ…」
「石津!
お前に言いたかったことは全部石田が言ったから、もう言わねーぞ。
でも、俺達はお前を仲間だと思ってんだから変な気なんて、遣うなよ。」
黒崎の言葉にみんなが彼女を見る。
「…………はい、ありがとうございます」
微笑んだ彼女は、すごく嬉しそうだった。
「いや〜、青春ッすね…」