第3章 響く音はひろがりとどく
目をはっとしている彼女の顔が見えたから
気恥ずかしくて、眼鏡を直しながら呟いた。
「一つ、間違いだよ。
黒崎達は、優しいから君と一緒にいたんじゃない。必死になって頑張る姿をみてるし、仲間だって思ってるから一緒にいるんだよ。」
「………………え」
「仲間になるのに時間なんて、僕は関係ないと思うよ。どう過ごして、どう互いを見れてるか、なんじゃないかと………思う。」
「君が心配で、みんな残ってるんだ。もう………仲間みたいなものなんじゃないのかな。」
僕の言葉に、彼女は口を開いて何か言おうとした。
「あのーー。そろそろいいでしょうかね?」
浦原さんの声が障子の前から聞こえた。
悪い意味で、時が止まった。