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BLEACH 叶わない願いをそれでも願う

第3章 響く音はひろがりとどく


彼女の話を聞いて、気持ちを知った。



確かに僕は彼女自身を見ていなかった。



ただ、幼い日の死した友人に似ている。
それだけの理由で。
僕にとっては、譲れない理由だとしてもだ。






それがどれだけ………浅ましいかを思い知った。




「わからないなら、いまは………それでいいと思います」




言葉は響いて、すとんと落ちた。



僕は、知りたかったんだろう。

どうしたら彼女自身をみれない心の弱さを消せるのか。

自分の中にある、この思いをそのままにしていたくなかったんだ。

目の前の彼女にとって失礼だし、理由はどうあれ駄目な事もわかってた。



だけど自問自答しても答えなんて出なくて。

どうしたって、思い出の中の彼女が大事であることは明白で。

それと同時に、現れた彼女への後ろめたさも強く感じていた。

どうにかしたいと思っても心に答えなんて出せずにいた。



だから、避けて遠ざけた。
そうすれば、彼女も傷つけずに済む。

結局僕は師匠の時と同じように、また逃げようとしていたのかもしれない。


それでも、彼女が僕を虚から庇った理由が気になって、思わず聞いてしまった。

あんな酷いことを言ったのに。
どうして、そんなことが出来たのか。



分からないと、でも傷ついて欲しくないと彼女は言った。
目の前に危ない人が居たら助ける。


でも、それらが彼女の本心であると分かった。





よぎったのは黒崎の言葉。


『お前がどう考えてるかなんて知らねーよ。でもな、石津はお前に真っ直ぐだぞ。』





本当だな。
今思えばいつだって、彼女はそうだ。



教科書のコピーを渡した時の笑顔やお礼も
雨の日の時も。
そして、今も。



真っ直ぐな視線で、真っ直ぐな言葉で
緊張しながらも僕に話してくれた。



此方がたじろいでしまうくらいに。







また、重ねてしまうかもしれない。
気持ちが溢れてしまうかもしれない。





それでも………君を見ていたら、幼い日の彼女への燻る気持ちが、何か変われそうな気もしたんだ。






だから、僕も少しだけ………向き合ってみようと思うんだ。







心の弱い僕でも   真っ直ぐな君と












仲間として






そう思ったら、何故だかふっと笑っていた。

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