第1章 出会い
それは遡ること半年前___
「潤。お前またパパが付けてやった護衛から逃げ出したな〜。もう!心配するだろ??」
「だって、護衛をこんなに引き連れて歩くの嫌なんだもん!」
五人だよ?きっと見えないところであと五人はいると思う。
前に十人近の護衛がついていて、流石に俺も父に文句を言った。やっとの思いで半分の護衛が減った。
が、あの父のことだ。見えないところに倍くらいの護衛がいても不思議じゃない!
だいたい、男だよ?俺。
ありえないでしょ!
なにかあった時のために護身術だって身につけてるのに!!
過保護すぎるんだよ。
「護衛のせいで中学では友達も出来たもんじゃない!俺はもっと自由に普通のスクールライフを送りたいんだよ!」
「潤…わかってるだろ?松本家は巨大企業だ。そして代々世襲制を取っている。お前はたった一人の跡取りなんだぞ?」
「…そんなのわかってるよ。松本を継ぐことに関しては覚悟してる。でも、だからこそ、ただ守られてるだけじゃダメだと思うんだ。」
それらしい事を言う。
実際は自由になりたいだけなんだけどね。
俺がそこまで言い切ると、父が黙り込んだ。
「グスっ…」
……え!!?泣いてる!!!?
「え!?なに!?」
「潤が考えてるなんて…グスっ…成長したな…パパ嬉しいぞ…グスっ…」
おいおい、勘弁してくれよ…恥ずかしい。
「よし、ではこうしよう。」
さっきまで顔面を覆ってた手の指を1本立てて俺に提案してきた。
「伊賀伝統学園、という中高一貫の学校がある。潤が高校生になったらそこに入学しなさい。」
はぁ!?