第3章 一歩
「なぁ、放っておいて大丈夫だったのか?ほんとに。」
「は?良いに決まってんじゃん。あんなやつ。自業自得だよ。」
あの後、俺から最上級のゲンコツを受けて、悶絶している大野を俺らは屋上に置いてきた。
授業に間に合うことがないのがわかってるから、教室に向かう前にトイレへ寄った。
手を洗い終わりトイレから出ようとすると、俺の前に櫻井が立ちはだかった。
「ん?なに?」
「なぁ、大丈夫?ココ。」
櫻井の手が俺の中心に触れた。
「え…?」
俺は慌ててその腕を掴んで体を離す。
「なにやってんの?」
見上げた櫻井の目が妖しく光っている。
ゾクッ、、、
「なんのつもりだよ…」
一歩下がるとすぐ後ろに壁があってトンとあたる。
「なっ…あっ。」
今度はしっかり俺のを握ってきた。
一瞬のことで手が追いつかない。
「櫻井…?」
「潤、大丈夫だよ。俺の目を見て。気持ちよくなろ?」
顎を上に上げられて、視線を合わせられる。
や、やばい。
その瞳に持っていかれそうになる。慌てて目を逸らす。
「ふふ、流石だな。俺の術をかわすなんて。」
「離せよ。」
術はかわせても、手はかわせない。
ユルリと形に沿って扱かれた。