第3章 一歩
「つまりこいつのせいか。」
大野が俺の膝でスヤスヤと眠るのを見ながら二宮が口を開いた。
「えぇー!!俺!?」
「うるさい。どう考えてもそうでしょ?
大野さんの気分を害してたのはあなたです!」
二宮が声を上げる相葉を叩いて黙らせる。
俺はそっと大野の頭を撫でた。
「でも付き合ってるとは思わなかったよ。」
「え?誰が?」
「え?あなたと大野さん。」
カッと顔が赤くなるのがわかる。
「な!付き合ってねぇよ!!!」
つい大声で怒鳴ってしまい、大野が薄く目を開けた。
「んぅ…なに?」
「あ、ごめん。寝てていいから。」
慌てて頭を撫でると、柔らかく笑ってまた寝息を立て始めた。
「でも、キスしてましたよね?」
「あれは無理矢理だよ。見てたよね?」
「まぁね。ふふ、でもあんまり嫌そうじゃなかったよ?ね、あーばさん。」
「うんうん!何気にだって、受け入れてたじゃん!」
相葉が嬉しそうに俺に向かって言う。
「そんなことねぇよ!!しっかり投げ飛ばしたろ!?」
「まぁ、出会ったばっかで付き合ってるってことはないんじゃないかな?」
「まぁ、それはね。じゃあ大野さんの一方通行かぁ。」
「うわぁ〜、辛いねぇ。」