第3章 一歩
痛みで頭を抑える大野をそのままに、
グイッと唇の端を拭ってそっぽを向いく。
まったく、油断のすきもあったもんじゃない!!
「潤…顔真っ赤だぞ?」
一部始終を見ていたであろう、櫻井にニヤつき顔で言われる。
「うるせぇ!なってねぇよ!」
「潤、ひでぇよ!なぁ〜、潤ってぇ〜」
あー、めんどくせぇ!
まとわりついてくる大野をガン無視する。
少しでも気にかけた俺が悪かった!!
「でも、仲良くなったんですね!」
二宮はそう言って呑気に笑った。
「なってねぇよ!!」
「まぁまぁ…」
相葉が喧嘩腰の俺を宥めながら、大野に笑顔で振り向いた。
「でも大野くんも良かったね?」
その瞬間に大野から表情が消え、これでもかというくらい無表情になる。
「え…?」
そしてギロっと相葉を睨みつけるように下から見上げた。
「あ…」
敵意あるような目で見上げられその場で相葉が凍りつく。
「……はぁ。」
俺は立ち上がって、大野の傍に行くと大野の目線に合わせてしゃがみ、今度は軽く叩いた。
大野が俺を見る。
まぁ、この目じゃ睨んでると思われても仕方ないか。
「こら、そんな目で睨むな。」