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御曹司と忍び 【気象系BL】

第2章 事件



「潤、先に風呂入ろ。」

俺の寮の部屋に着くなり大野が言った。

「は?」

「…早く洗い流したくないか?」

大野が伺うように俺の顔を覗く。

言いたいことはわかる。
心配そうな顔が物語ってるから。

また震えてきそうな体を必死に押さえ込んだが
顔に出てたのか

大野は優しく包むように俺を抱き寄せた。


「俺の前では我慢しなくていいから。」

頭を撫でてくれる手が優しい。

「大野…」

「一緒に入ってやるから。」


「え、いやそれは、いい。」

「遠慮するな。」

「いや、してねぇから!え…いや、ちょっと待って!!」

慌てる俺を無視して、俺の腕を掴んだまま洗面所に連れて行く。

大野がさっさと自分の服を脱ぎはじめるから
慌てて視線を逸らした。


「ほら、潤も。」

「いや、俺は後でいい!」

「なんでだよ、ほら早く。」

大野の手が俺のブレザーを脱がし、切られたセーターもあっという間に下に落ちる。

「待って!自分でやるから!先入ってて!」

「本当に?」

「う、うん。」

大野はわかった、と頷くと先に風呂場に入っていった。

俺はおずおず着ていた服を全部脱ぎ払い、
風呂場のドアに手を掛けた時、ふと洗面台の鏡が目に入った。

無言で近づき鏡の前に立つ。


微妙に赤く腫れてる胸の尖り。

うっ…汚ねぇ…

さっきのことが脳裏に過ぎる。

「う…」

見たくなくて、気持ち悪くて、その場に蹲った。


こんな姿、大野に見られたら嫌われる…


大野の嫌そうな顔が浮かんできて、更に追い打ちをかける。

涙が溢れてきて、震える体が止まらない。

「はぁはぁ…くっ…」


俺は強く胸の尖りを擦った。

赤くなる。痛い。

それでもその手は止められなかった。
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