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御曹司と忍び 【気象系BL】

第2章 事件



大野が俺の後ろに周りロープを解いていく。

「大野…」

静まり返った倉庫に俺の声が響く。

「ごめん。」

「大野…?」

大野は椅子に座ったままの俺を力強く抱きしめた。


「遅くなってごめん。」

体に入っていた力が抜けていく。
大野の腕の中は暖かくて不思議と安心できた。

「大丈夫だよ、もう大丈夫だから。」

優しい手が、無意識に体が震えていた俺の頭を撫でる。
俺は肩口に顔を押し付けながら、その首に自分の腕を巻き付けて強く抱きしめた。


「潤、帰ろ。」

そっと俺を剥がして、俺のズボンに手を掛ける。

「ちょっ、やめっ!」

「大丈夫、何もしない。」

その言葉通り大野は、俺のズボンのチャックを上げてボタンを締めてくれた。
ベルトは外れたままだけど、シャツのボタンもブレザーのボタンも締めてくれた。


「潤、しがみついてて。」

俺の腕を首に巻き付かせて俺の肩を抱くと、膝の裏に手を差し込んだ。

「ちょっ!」

ゆっくり持ち上げられる。

これお姫様抱っこじゃん!!

「暴れるな。」

じたばたする俺に一声掛けて、自分の方に抱き寄せると、出口の方に歩き出す。


「大野っ…」

外に出たら、俺は何だか恥ずかしくなってまた大野の肩口に顔を埋めてしがみついた。

「ふふ、可愛いよ潤。」

「お前な!」

文句を言うために顔を上げた俺のおでこに大野の唇がチュッと落ちてきた。

「っ!!」

「ふふ、耳まで真っ赤!」

「くそ!お前!!」

「掴まってて、危ないから。」

暴れる俺を更に強く俺を抱き寄せる。


「櫻井、サンキューな。」

「え?櫻井?」

大野が声を掛けた方向を見ようとした瞬間に、大野が跳び上がって風が駆け抜けていく。


「え?え!?う、うわぁぁぁぁ!!」

下を見るのが怖くて、落とされないように大野に力強くしがみついた。
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