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御曹司と忍び 【気象系BL】

第2章 事件



俺は何も考えずに飛び出した。

後ろから遅れて櫻井が追ってくるのがわかる。

「来るな。」

「どうしたんだよ?」


俺の速さに付いてこれる奴を俺は見たことがない。

まぁ、これでも七割だけど。


櫻井はまだ何があったのかを察知していない。
説明する気はない。

俺はスピードを上げて、潤へと意識を戻した。


「ふぅ…」

古くて小さいビルの前にヒラリと跳び降りる。

直ぐに電信棒の影に隠れて中の気配を確認する。

間違いなく潤はここにいる。


ビルの入り口に意識を向けていると
後ろでストンと何かが地面に下りる音がした。


「来たのか?」

「うん。流石だね。あの距離で察知するなんて。」


入口には二人ほど見張りをしてるが、それ以外は中にいるのだろうか。
気配からしてそこまで多い人数ではなさそうだ。

そこまで大きい集団ではなさそうだ。


「入口は俺が殺る。智くんは中に入って、潤を助けたることだけに集中すればいい。」

「どうやってお前を信じればいい。」

これ以上は関わるな、という意味も込めて、横の奴を睨む。


今まで仲間になりたいと言ってきたやつはいたけど、ろくな奴じゃなかった。

お金に目が暗み、人を簡単に裏切り、切り捨てる。

そんな奴らに嫌悪感を抱き、俺は仲間というものを遠ざけてきた。


「信じなくていい。でも、俺は潤の友達だ。だから俺も潤を助けたい。」

俺は振り返りその目を見た。

強く輝く瞳の奥には燃え盛る炎が見えた気がした。


「勝手にしろ。足だけは引っ張るな。」

返事も聞かずに俺は駆け出した。

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