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御曹司と忍び 【気象系BL】

第1章 出会い



「あ…あの…お、大野くん?」

ホームルームが始まっても出て行く気配がない大野に先生がおずおず声をかけた。

周りの空気が一瞬にして変わる。


「んだよ?」

大野が顔を上げて声を発した瞬間に、教室の空気が一瞬にして凍り付いた。

「ぅ…ぁ、あの…」

「聞こえない。」


涙目になってカタカタ震える先生。

それを見た大野が、ため息をつきながら立ち上がって一歩前に出る。

ガタガタガダッッ

周りの生徒が慌てたように机ごと大野から離れた。


…なんだ?

みんなが怯える理由がわからない。

大野はただ少し不機嫌になっているだけだ。


まさか、俺との時間を邪魔されたからではないよな…?


「おい、何睨んでんだよ。」

そう言って俺は大野の腕を自分の方に引き寄せた。

「へ?」


よろけた大野が俺の横にピッタリくっつく。

俺は周りをギロリと睨んでから先生に目を向けた。

「先生ももっとハッキリ喋ってくださいよ。何が言いたいのかさっぱりだよ。」

「…潤。」


俺は先生と周りの生徒の反応にイライラしてた。

なんで、こいつが動く度にみんなが一歩下がるんだよ?

そんな態度取られたら誰だって気分良くないに決まってる。


「ぁ、あ……」

「……くだらね。おい、お前もさっさと自分の教室戻れ。」


恐怖で何も言えない先生を無視して、大野と視線を合わせた。


「潤は…俺が怖くないのか?」

「は?何言ってんだよ。お前に怖がる必要なんてねぇだろ?ほら、帰れ。」

俺はそう言って立ち上がると、大野を出口の方へと押した。


でも、もう少しでドアの前というところで、大野が急に後ろを振り返って、俺の手首を掴んだ。


「え………」

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