第1章 出会い
そこには、男にしては小柄でヒョロリとした人が気だるそうにダラダラと歩いている。
目は今にも閉じそうで、全てにおいての気力を放棄しているように感じた。
生きてるのも不思議なくらいだ。
「…なんだあいつ。」
「あれでいて、すごい冷たいんだよ。俺なんて声掛けただけで睨み殺されちゃった。」
そいつから目を離すことなく相葉が言う。
目の輝きなんてあったもんじゃない。
もう、魚の目より死んだ目をしてる。
じーっとその姿を見つめていると、
ふっとそいつが顔を上げてこちらを見上げた。
「あ……」
目が合ってつい声が漏れてしまう。
ドクン…
俺の胸に何かが落ちた音がした。
俺を捉えた『大野智』の目は、みるみるうちに大きくなっていった。
しまいには、ポカーンと口を開けて、なんとも情けない顔で俺を見上げていた。
なんだその顔は…
俺が思ったと同時にその姿は消えていた。
「えっ!?」
慌てて窓にへばりついて更に下を見たけどその姿はどこにもない。
一瞬にして消えた…?
「松潤っ!!」
「え…?」
相葉の叫ぶ声にびっくりする暇もなく、後ろからふわりと風が押し寄せてきたかと思うと、俺の体は優しく何かに包まれた。
「潤!!!」