第10章 目覚め 【女ヶ島】
!!!
転調し、ガラリと音が変わる
両肘を振り上げ
身体を大きく前後に揺らすその後ろ姿
気を失ったかのように首がガックリとうなだれるが、音に合わせてまたゆっくりと持ち上がる
その動作を繰り返す度に
窓ガラスがビリつくほど 大きくなる音
(なんなんだ、コレは)
─── 演奏というより、まるで『祈祷』
ローはアルコの異常なその様子に、身体を支えるべきかと考えるが、自分の身体がピクリとも動かせないことに気づく。
どんな顔で弾いているのか、見たい。
しかし、見てはいけない。触れてはいけない。
畏れのような背徳感も沸き上がり、ローの身体の芯が熱くなった。
伸びやかな旋律が始まった
ローも毎朝 艦内で聴いているメロディ
大空を滑空する 猛禽(もうきん)のような
自由で
力強く
孤高
『……ゃ……く そく し て』
(………………?!)
ローは、アルコのつぶやきのような声を聴く。
『ゆ るして』
『つ ばさ を や すめ たら』
だ
『また る き し て』
あ
旋律に合わせて、アルコが歌っている。
『め』
『ざ めて』
─ぇ─────…………───
歌なのか
声なのか
音なのか
心が叫ぶような声
ぇぇぇぇぇぇ……ぁぁぁあぁぁぁぁあ ──
大空で風をつかまえて
さらに上空へ
飛び出すように
ぁぁぁぁぁぁあああああぁぉおおおお ──
低音から
聴き取れないほどの高音へ
聴き取れないほど小さい声から
耳が割れるほど大きな声へ
最高潮
っ!──────『め ざ め て』
ピークアウトした瞬間
「!!!!!!!」