第32章 約束
「さっっっむーーーい!!!」
ローの能力によって、一瞬で白銀の世界へ飛んできた。
今までいた部屋との温度差に耐えられず、アルコは身を縮めて、大声をあげる。
久しぶりの外
いつ以来?
──── あぁ、あの時か
ドフラミンゴと対峙した あの屋敷
アルコはローのコートにくっついたまま、冷たい風を深くゆっくりと鼻から吸った。体内にも寒さを取り込み、温度差を減らしていく。
肩の力を抜いて身体の強(こわ)ばりを解(と)き、瞑(つぶ)りかけていた目をゆっくりと開けた。
降る雪が頬(ほほ)に当たり、視界の一部が白くなった。まつげに雪が乗ったようなので、大きく瞬(まばた)きをして落とした。
「ここは……?」
「破壊された研究所の跡地だ」
“研究所”。
厚く乗っている雪の隙間(すきま)から、数字の書かれたタンクや階段、煙突が覗いていた。どれも部分的な残骸だ。しかしその造りは、アルコが今までいた部屋や窓からみえる範囲で知る建物の外壁に雰囲気が似ていた。ふたりはその残骸に降り積もった雪の上に立っていた。
「わぁ~……、寒い、寒い!」
アルコの その声は弾(はず)んでいる。
つかんでいたローのコートから手を離し、雪の上を歩いた。新雪をブーツで踏みしめる。足の底で雪が圧縮される感覚と音を楽しみながら、突き出た砲台のような部分へと歩みを進めた。