第32章 約束
『──── おや、これはこれは』
クライガナ島。
居城の前庭の隅に座って竪琴を鳴らしていたアルコは、その手を止めた。
赤い髪に麦わら帽子を乗せた その男は、屈託のない笑顔をみせる。
『……あ、』
この島に人が来るなんて。この城までたどり着くなんて。演奏をしていたとはいえ、背後を取られていたことに気づかなかったなんて。
驚いたアルコは、膝掛けを羽織って珀鉛病の白いアザを隠した。楽器を抱えて城へ走り出す。
『あ~、行っちまった。
彼女も“新しい時代”……そうなんだろう?────“鷹の目”』
『……要件はなんだ“赤髪”』
演奏をひそかに堪能していたことを邪魔されたミホークは、不機嫌な様子でそう返した。
“赤髪”と呼ばれた その男は、それから数日間クライガナ島に滞在した。
その時、アルコは“赤髪”のシャンクスという男の懐(ふところ)の深さと、ミホークとの関係を知る。
彼らは、まるで
『裏』と『表』
『陰』と『陽』
気質はまったく違うが、それゆえに相性が良さそうにみえた。
上下もない。優劣もない。
それは やっぱり ────
「意外と、相性がいいかもよ」
「……?」
だって似てるじゃない
おじさまと“赤髪”のシャンクス
ローと“麦わら”のルフィ
『仲間』とは違う関係
それはやっぱり ──── “友達”だ
仲間想いで、本当は優しいところ
ワガママな程に信念を曲げないところ
何があってもあきらめずに
誇り高く、高みを目指しているところ
やっぱりふたりは、相性が良さそうだ