第32章 約束
「そもそもローは七武海でしょ。ルフィ達とは立場が違うじゃない」
「まァ…、…そうだな」
歯切れの悪い返事だ。何かを考えているらしい。こういう時はアルコは、これ以上彼に話しかけないと決めている。
案の定、沈黙が続くので、アルコは新聞に再び興味を戻した。
ようやく新聞記事の見出しだけでなく内容が頭に入りかけたところで、ローはミホークのことを例に出しながら七武海について話題にし始めた。「ミホークは七武海を剥奪されたことはないのか」「されそうになったことはないのか」「されるとしたら、その基準は」「七武海同士の衝突が起こったことは」「仮に起こるとどうなるか」……
アルコは推測も含め、わかる範囲のことを伝えた。
ローが言わんとしていることは、容易に察することができた。彼の話題のターゲットはミホークではなく、本当は“あの男”であることは明白だ。
ミストリア島で交戦した“あの男” ──── ドンキホーテ・ドフラミンゴを思い出し、アルコは自分自身の両肩を抱いた。
ローをかばって受けた傷はすっかり治っていたが、アルコの心には いまだにくっきりと刻まれている。
あの男は“危険”だ。
強いだけじゃない。その能力だけじゃない。ヒトの心すらも操(あやつ)る。その糸で。
がんじがらめにして、張りつめて、動けなくなるほどに。
いやらしい男だ。
心の弱くて柔らかい部分を探り当ててて突いてくるような“いやらしさ”と“危険さ”を感じた。
それにローは……
あの男との“因縁”によって、すでに心の一部が その糸にとらわれているようにみえた。
本人も それがわかっているんだろう。ローは頭がいいし、客観的に状況を判断できる人だから。
だからこそ、彼はここで力を蓄え、策を練っているんだろう。
直接、対峙せずに済む方法を ────