第31章 arousal
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「大丈夫か」
「ん…」
動揺で左右に細かく揺れる瞳。それを覗きこんだローは落ち着いた声で言葉をかけた。ぐったりとした身体を支え、あちこちを撫でてやる。
「どうし、よ…。自分の身体じゃないみたい…。それに波が…、ある。…すっごい どうしようもなく、“欲しい”時と…」
「ああ…、そうみたいだな。大丈夫だ」
「だめだよ…! 今のうちに…私、を…縛って。部屋から出てって…! これ以上、ローを傷、つける前に…」
うろたえるアルコは再び怯えて震え、いつもより小さくみえた。手錠にこすった赤い跡のついた両腕を揃えて差し出されるが、ローは頑(かたく)なに その手を制し、優しくおろさせる。
「言っただろ。“欲しい”なら“欲しい”だけ…くれてやる」
「ロー…」
「いいじゃねェか。おれなら…、大丈夫だ」
(─── むしろ、…ありがてェ)
アルコが…おれを求めてくれるなんてことは
おれを満足させられるくらい
おれが もうやめてくれって音(ね)を上げるくらい
それくらい 激しく
激しい吹雪が窓を叩いた。
アルコはその音にハッとして窓を見るがローはアルコを見つめたまま、その口もとに触れて浮かない顔を自分の方へ向けさせた。