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RUMBLE 【OP 原作沿い長編】

第31章 arousal




「あ…、うそ…、どう、しよっ…?! ご、めん…、ごめん。ロー…、ごめ」

「…大丈夫だ」


アルコは噛みついた傷口を指先で押さえてから、周りをぺろぺろと舐め始める。

痛みの中心は、その周囲に与えられたゾクゾクするような くすぐったさで すぐに癒された。

理性と欲望の間で闘っているアルコをなだめ、頭や背中を撫でてやった。鋭く噛みついてきた時とは人が変わったように身体の力が抜けている。ゆっくりと身体を離させると ────


困ったように寄せた眉の下に
怯えて揺れる 潤んだ瞳
そこから次々と溢れ出す 涙

血で赤く染まった口もとは、薄く開けたまま震えていた。


(──── かわいいな)


異常な行為をした彼女を受け入れたことで、自分の異常さにも拍車がかかったのか。猟奇的なその姿を心の底から「かわいい」と思う。温かい気持ちが沸き上がった。この状況下に似つかわしくない、とローは理性的に笑った。

それにアルコのここまで弱りきった表情は初めてみるような気がする。不安で さめざめと子供のように泣いているのをみて、『支配欲』に近いものが満たされいくのを感じた。

普段は かたくなに他人を頼ろうとしないアルコを、なだめてやれるのは、助けてやれるのは、安心感を与えてやれるのは、今の自分だけだという状況を思えば何でも差し出してやりたくなった。


いや、『支配』されているのは おれのほうか


ほほをつたう涙を指でぬぐってやる。


アルコは 起きているし
おれは ────


眠っている時は、何もしてやれなかった。世界のすべてを拒絶し、殻に閉じこもるように眠り続けるアルコに対して自分に出来ることは何もなくて、その無力感に生きている実感が無くなる程だった。噛みつかれた痛みが、その実感を呼び起こす。


──── おれは 生きている


アルコが望むなら
おれは なんでもしよう




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